8月・葉月(はづき)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例

8月は、お中元のお礼状や残暑見舞い、ビジネスメールなど、1年の中でも特に手紙や書面を送る機会が多い時期。それだけに、「どのような時候の挨拶を選べばいいのか分からない」と頭を抱えてしまう方も少なくありません。

実は、8月の時候の挨拶は1年で最もマナー違反が起こりやすい鬼門。なぜなら、「立秋(8月7日頃)」を境に、使うべき季語が180度ガラリと変わってしまうからです。

この記事では、代筆のプロとしての知見をもとに、ビジネスからプライベートまでコピペで3分で完成する8月の時候の挨拶・例文を徹底解説します。ルールさえ押さえれば、もう手紙の書き出しに迷う必要はありません。相手に好印象を与える美しい挨拶文を、今すぐ見つけてみませんか?

なぜ8月の挨拶は難しい?知っておくべき「立秋(8月7日頃)」のルール

8月の挨拶状を執筆する際、絶対に避けては通れないのが「立秋(りっしゅう・8月7日頃)」の存在です。この日を境に、手紙のマナーにおける季節の扱いが大きく切り替わります。

立秋前は「暑中」、立秋後は暦の上で「秋(残暑)」

驚くべきことに、カレンダーの上では猛暑のピークであっても、旧暦(二十四節気)における8月7日頃(立秋)からは「秋」として扱われます。そのため、時候の挨拶に使う言葉も、日付によって明確に使い分けなければなりません。

  • 立秋より前(8月1日〜8月6日頃):「暑中」の期間。猛暑、酷暑、大暑など、夏の盛りを表す言葉を使います。
  • 立秋以降(8月7日〜8月31日):暦の上では「秋」となり、期間は「残暑」に。そのため、「酷暑」といったダイレクトに暑さを表す言葉はマナー違反となり、「残暑」「残炎」「晩暑」といった言葉へと完全に切り替えます。

残暑見舞いは「8月中」に届くのが基本ルール

「残暑お見舞い申し上げます」でおなじみの残暑見舞いですが、送る時期にはタイムリミットが存在します。遅くとも8月31日、あるいは遅くとも白露(9月7日頃、すなわち二十四節気における処暑の終わり)の前日までに相手に届くよう手配するのが大人のマナー。一般的には8月中に届くのが好ましいとされ、9月に入って届いてしまうと、いかに丁寧な文面であっても、時期外れでスマートさを欠いた印象を与えてしまいかねません。

【ビジネス向け】8月の時候の挨拶と書き出し例文(漢語調)

ビジネスレターや改まった礼状では、格式高い「漢語調(かんごちょう)」の挨拶が最適です。

基本構成は非常にシンプル。「[季語]の候(または「折」「みぎり」)」+「相手の繁栄や健康を祈る言葉(貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます、など)」をセットで用います。

まずは、時期に応じた最適な季語と、その組み合わせを一覧表で確認してみましょう。

使用時期推奨する季語意味・ニュアンス
8月上旬
(立秋前:8/1〜8/6頃)
猛暑(もうしょ)の候
酷暑(こくしょ)の候
大暑(たいしょ)の候
極暑(ごくしょ)の候
厳しい夏の暑さが極まり、最も暑い盛りであることを表します。
8月中旬
(立秋後〜お盆:8/7〜8/20頃)
立秋(りっしゅう)の候
残暑(ざんしょ)の候
残炎(ざんえん)の候
晩暑(ばんしょ)の候
納涼(のうりょう)の候
暦の上で秋を迎えたものの、依然として厳しい暑さが残る様子を指します。
8月下旬
(処暑:8/23頃〜8/31)
処暑(しょしょ)の候
早涼(そうりょう)の候
晩夏(ばんか)の候
初秋(しょしゅう)の候
暮夏(ぼか)の候
残炎(ざんえん)の候
暑さが落ち着きを見せ始め、少しずつ秋の気配が混じる様子を表します。また、近年はまだ厳しい暑さが残る場合に「残炎」も使われます。

8月上旬(立秋前:8/1〜8/6頃)の挨拶

  • 酷暑の候、貴社におかれましてはますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
  • 大暑のみぎり、貴社いよいよご発展の段、大慶に至り存じます。
  • 猛暑の折、皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

8月中旬(立秋後〜お盆:8/7〜8/20頃)の挨拶

  • 立秋の候、貴社ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
  • 残暑の折、平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
  • 晩暑のみぎり、貴社におかれましては、いよいよご清祥のことと拝察いたします。

8月下旬(処暑:8/23頃〜8/31)の挨拶

  • 処暑の候、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
  • 晩夏の折、平素は格別のご愛顧を賜り、心より御礼申し上げます。
  • 残炎の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

【プロの視点:近年増加する「残炎」と「早涼」の使い分け】
近年, 8月の終わりになっても記録的な猛暑(残暑)が日本各地で続く傾向にあります。そのため、秋が近づき涼しくなったことを表す「早涼(そうりょう)」という季語を使うと、実際の体感温度とかけ離れ、不自然な印象を与えてしまうことが少なくありません。まだジリジリと焦げるような暑さが残っていると感じる場合は、秋になっても消え残る暑さを意味する「残炎(ざんえん)の候」をあえて選ぶのが、現代の気候に寄り添ったスマートな表現です。

【親しい人へ】8月の季節の挨拶と書き出し例文(口語調)

親しい友人や知人に宛てる手紙や、少しカジュアルなビジネスメールでは、堅苦しい「〜の候」を避けて、情景が目に浮かぶような「口語調(こうごちょう)」の挨拶がベスト。相手との距離感をグッと縮めることができます。

8月上旬(立秋前)のカジュアルな挨拶

夏真っ盛りの日差しや、夏祭り、ひまわりなど、躍動感のある「夏」を感じさせる表現がぴったりです。

  • 連日、容赦ない猛暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
  • お祭りや花火大会の賑やかな音が聞こえる季節、皆様お変わりございませんか。
  • ひまわりが太陽に向かって元気に咲き誇る今日この頃、皆様お元気に過ごされていますか。
  • いよいよ本格的な夏休みのシーズンですね。ご家族でお出かけの計画などは立てられましたか。

8月中旬(立秋後・お盆)のカジュアルな挨拶

カレンダー上ではお盆ですが、暑さはピーク。「立秋とは名ばかりの暑さ」を切り口に、帰省や夕立といったお盆時期のトピックを織り交ぜます。

  • 立秋とは名ばかりの猛暑が続いておりますが、お元気にお過ごしですか。
  • お盆休みで街も心なしか穏やかな空気ですが、充実したお休みを過ごされていますでしょうか。
  • 盆踊りの太鼓の音に、どこか行く夏の寂しさを感じる今日この頃、いかがお過ごしですか?
  • 涼を運んでくれるはずの夕立さえ恋しいほどの猛暑ですが、お疲れは出ていらっしゃいませんか。

8月下旬(処暑:8/23頃〜8/31)のカジュアルな挨拶

ツクツクボウシの鳴き声や、朝晩のちょっとした風の変化など、終わりゆく夏と「秋の気配」を五感で捉えた一言が喜ばれます。

  • いつの間にか蝉の声がツクツクボウシに変わり、少しずつ夏の終わりを感じております。
  • 朝夕にはどこか心地よい涼しい風が混じるようになってきましたが、お変わりございませんか。
  • あれほど厳しかった暑さもようやく峠を越したようですが、皆様お健やかにお過ごしでしょうか。
  • 夏休みも残すところわずかとなり、どこか寂しげな風情が漂う今日この頃ですが、いかがお過ごしですか。

【コピペで完成】8月に使える手紙・メールのテンプレート(例文)

そのままコピーして必要な箇所を埋めるだけで、完成度の高い手紙がすぐに出来上がります。ビジネス用とプライベート用、状況に合わせて使い分けてください。

ビジネス用テンプレート(取引先へのお礼状・挨拶状)

※8月中旬(残暑の候)に送る、日頃の厚誼に対する感謝を伝えるテンプレートです。

拝啓

残暑の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、[本文:ここに用件や感謝の言葉が入ります(例:先日はご多忙の折、弊社の〇〇プロジェクトについて貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました)]。

まだまだ厳しい暑さが続く毎日ですが、どうぞご無理をなさらないようご自愛ください。
貴社の更なるご発展と皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

敬具

令和〇年八月吉日

[差出人の会社名・氏名]

[宛先の会社名・役職・氏名]様

プライベート用テンプレート(親しい人への近況報告・残暑見舞い)

※8月下旬(朝晩は少し涼しく…)に送る、相手の健康を気遣うテンプレートです。

朝夕にはかすかに秋の気配を感じる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
おかげさまで、私どもも元気に夏を乗り切ることができました。

さて、[本文:ここに近況報告が入ります(例:我が家ではこの夏、久しぶりに家族で温泉旅行へ行ってまいりました)]。

季節の変わり目、夏の疲れが出やすい時期でもあります。
どうぞ体調を崩されませぬよう、くれぐれもお体を大切にお過ごしください。

令和〇年八月

[差出人の氏名]

[宛先の氏名]様

8月に最適な結びの言葉(ビジネス/プライベート)

手紙の印象を決定づける最後の締めの言葉。相手の健康や、ビジネスのさらなる発展を優しくお祈りすることで、誠意ある印象が格段にアップします。

ビジネス向け(発展を祈る結びの言葉)

  • 残暑厳しき折、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
  • 厳しい暑さに負けぬよう、皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
  • 暑さの出口が待たれるこの頃、末筆ながら貴社のさらなるご繁栄をお祈り申し上げます。

プライベート向け(健康や夏バテ防止を気遣う結びの言葉)

  • 酷暑が続いておりますが、熱中症などにならぬよう皆様くれぐれもお気を付けください。
  • 夏の疲れが出やすい時期です。お風邪など召されませんようご自愛ください。
  • 残暑にもめげぬよう、お互い元気にこの夏を乗り切りましょう。
  • まだしばらくは厳しい暑さが続きますが、どうぞお体を大切にお過ごしください。

季節を問わず使える年中OKの結びの挨拶

もし「どうしても季節の挨拶選びに自信がない」「もっとニュートラルな文面で相手を気遣いたい」という場合は、年間を通していつでも不自然にならずに使える定番の結びを活用するのもおすすめ。以下のページでは、シチュエーションを選ばない汎用性の高い表現を紹介しています。

詳しく知りたい方は、「季節を問わず年中使える結びの挨拶言葉」のページもあわせて参考にしてみてください。

月別の時候の挨拶一覧

日本の四季の美しさは、言葉の豊かさ。8月以外の月でも、それぞれの季節にふさわしい時候の挨拶が多数存在します。次の月、あるいは別件でお手紙を用意される際は、ぜひ以下のリンクから最適な言葉を見つけてください。