日本には美しい四季があり、手紙には季節の挨拶を書き添えることが習慣化されてきました。ビジネスで送る手紙でも、季節の挨拶は書いたほうが丁寧な印象を与えます。とはいえ、季節に合った内容にしないと違和感を持たれるなど、意外に言葉選びには悩むものです。当記事では季節の挨拶の書き方や、季節の挨拶の例文を月ごとに紹介していきます。
取引先や顧客への手紙を魅力的に!季節の挨拶(時候の挨拶)の書き方
季節の挨拶は時候の挨拶とも呼ばれ、昔から手紙に書かれてきました。季節を表す言葉に相手を気遣う文章を添えることが多く、心を伝える手段にもなっています。
季節の挨拶を入れた手紙を書く順番としては、「拝啓」などの頭語の後に季節の挨拶を書き、本題、結びの文章、「敬具」などの結語とするのが一般的です。
時候の挨拶の書き方ですが、漢語調と口語調があるので、どちらかを選びます。漢語調は季節を表す単語の後に「〇〇の候」「〇〇の折」「〇〇のみぎり」などと書きます。例えば桜の季節であれば「桜花の候」「桜花の折」「桜花のみぎり」です。
一方、口語調の場合には普段使うようなやわらかな表現を使います。同じく桜の季節であれば「桜の花が美しい季節となりました」などとなります。
漢語調のほうが格調高くビジネスシーンではよく使われますが、あえて口語調で柔らかくするのも一つの方法です。内容も季節や相手に合わせ、自分なりに表現をしてみましょう。
ビジネスの手紙における季節の挨拶(時候の挨拶)とは?月ごとの例文を紹介
季節の挨拶は二十四節気を基準に書き分けます。二十四節気とは春分や冬至など、四季をさらにそれぞれ6つに分けて季節を表したものです。
一般的に良く使われる季節の挨拶を、月ごとの代表的な慣用句、書き出しの例文、結びの例文に分けて紹介します。
1月の季節の挨拶
1月の挨拶としては一年の多幸への願いや寒さへの気遣いを表す挨拶が好ましいですね。1月を通じて使える単語には厳冬、寒冷、厳寒、酷寒、厳寒などがあります。ただし、暖冬の場合は正直に暖冬であることを表現しても良いでしょう。
上旬/初春の候、新春の候、七草の候
中旬/小寒の候、寒風の候
下旬/大寒の候
書き出し
<上旬>
初春の候、〇〇様におかれましてはますますご壮健のこととお慶び申し上げます。
<中旬>
寒中お見舞い申し上げます。〇〇様におかれましては良き新年をお迎えと存じます。
<下旬>
大寒の候、春の訪れが待たれますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
結び
まだまだ寒さ厳しい日が続きますが、ご健勝にお過ごし下さい。
本年が〇〇様にとって幸多い一年となりますよう、お祈り申し上げます。
大寒の折、風邪など召されませぬようご自愛下さい。
さらに詳しい1月の季節の挨拶はこちらをご覧下さい。
1月・睦月(むつき)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例
2月の季節の挨拶
一年で最も寒さが厳しい時期でありつつも、節分や立春を迎えることから、寒い冬が終わり春を迎えるような挨拶が好ましいでしょう。特に下旬になると寒さの中にも雪解けなど春の訪れを感じさせる表現が増えてきます。2月全体としては向春、梅花などが使われます。
上旬/暮冬の候、晩冬の候
中旬/立春の候、残寒の候、春寒の候
下旬/残雪の候、雨水の候
書き出し
<上旬>
立春とは言いつつも、寒さの厳しい日が続きますが、お健やかにお過ごしでしょうか。
<中旬>
梅花の香り漂う季節となりましたが、ご清祥のこととお喜び申し上げます。
<下旬>
残雪の候、皆様におかれましてはご健勝のことと存じます。
結び
三寒四温の折、体調管理にご留意下さい。ますますのご活躍を祈念いたします。
寒さ厳しき折、ご自愛専一にてお願い申し上げます。
春寒のみぎり、健康には十分にご留意下さい。
さらに詳しい2月の季節の挨拶はこちらをご覧下さい。
2月・如月(きさらぎ)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例
3月の季節の挨拶
二十四節気中、3月5日頃の啓蟄(けいちつ)、3月21日頃の春分に当たり、春の訪れを感じる季節です。啓蟄は冬の間、眠っていた虫が出てくることを指します。草花がかわるがわる咲く季節の変化に合わせた表現の他、新年度を前にした会社の変化を表すのも有効です。
上旬/早春の候、解氷の候、浅春の候
中旬/啓蟄の候、仲春の候
下旬/春分の候、春陽の候、春光の候
書き出し
<上旬>
梅の香りがほのかに漂う季節となりましたが、ますますご活躍のことと存じます。
<中旬>
仲春の候、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
<下旬>
春分の候、貴社におかれましては新年度に向けて、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
結び
浅春の候、何卒ご自愛下さい。
何かと忙しい季節の変わり目ですが、ご自愛されご健勝にお過ごし下さい。
春陽の候、木々も芽吹いてまいりました。貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。
さらに詳しい3月の季節の挨拶はこちらをご覧下さい。
3月・弥生(やよい)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例
4月の季節の挨拶
桜や木蓮など、さまざまな花が咲く季節のため、草花の話題を盛り込むのもおすすめです。また、下旬になるとそろそろ、夏の足音を感じさせる文面も似合うようになります。新年度のスタートということで、送り先の環境変化を気遣う表現も好印象です。
上旬/春風の候、桜花の候、春分の候
中旬/春嵐の候、清明の候
下旬/若草の候、葉桜の候、穀雨の候
書き出し
<上旬>
桜花爛漫の候、貴社におかれましてはますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。
<中旬>
新年度もスタートし、貴社の皆様におかれましては気持ち新たにご活躍のことと存じます。
<下旬>
若草が香り、初夏の気配が漂う季節となりました。健やかにお過ごしでしょうか。
結び
花冷えの折、くれぐれも風邪など召されませぬよう、ご自愛下さい。
春爛漫のみぎり、ますますのご活躍をお祈り申し上げます。
春雨に体を冷やしませんよう、お健やかにお過ごし下さい。
さらに詳しい4月の季節の挨拶はこちらをご覧下さい。
4月・卯月(うづき)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例
5月の季節の挨拶
二十四節気としては5月5日頃が立夏に当たり夏が始まります。新緑や過ごしやすい気候を表すことが多く、5月全般で若葉、初夏、青葉、薫風、緑風なども使われます。
上旬/葉桜の候、麗春の候、惜春の候
中旬/初夏の候、立夏の候、薄暑の候
下旬/小満の候、向暑の候
書き出し
<上旬>
若葉が芽吹く中、貴社ますますのご清栄とのことと大慶に存じます。
<中旬>
薫風の候、貴社におかれましては、さらに活気に満ちていらっしゃることと存じます。
<下旬>
万緑の折、貴社におかれましてはエネルギーが満ち、さらなるご隆盛のことと存じます。
結び
暑さが増してまいりますが、お体をご自愛下さい。
季節の変わり目ですが、体調を崩されませんよう、お健やかにお過ごし下さい。
薫風のみぎり、ますますのご活躍をお祈り申し上げます。
さらに詳しい5月の季節の挨拶はこちらをご覧下さい。
5月・皐月(さつき)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例
6月の季節の挨拶
二十四節気では6月21日頃に夏至があり、一年で最も日中が長くなります。湿度が高くなるため、紫陽花(あじさい)や睡蓮(すいれん)など6月に咲く花を爽やかに表現する内容が好ましいでしょう。6月全体では桜桃、深緑などもよく手紙で使われます。
上旬/薄暑の候、麦秋の候
中旬/入梅の候、梅雨の候、黄梅の候
下旬/夏至の候、向夏の候、小夏の候
書き出し
<上旬>
薄暑となり少し暑さを感じる頃となりましたが、ご健勝でお過ごしでしょうか。
<中旬>
入梅の候、〇〇様におかれましては、ますますご活躍のこととお祝い申し上げます。
<下旬>
向夏のみぎり、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
結び
季節の変わり目でございます。何卒お体をご自愛下さい。
梅雨空が続きますが、ご体調に気を付けてお過ごし下さい。
日増しに暑さが増してまいりますが、健康には十分にご留意しつつ、さらなるご活躍を祈念申し上げます。
さらに詳しい6月の季節の挨拶はこちらをご覧下さい。
6月・水無月(みなづき)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例
7月の季節の挨拶
7月7日頃に小暑、7月23日頃に大暑となり、いよいよ夏の盛りです。気温が上昇してくるので体調を気遣う言葉や涼しげな表現をすると良いでしょう。7月全体では盛夏なども季節の挨拶としてよく使われ、梅雨が明けない場合には長雨も使用されます。
上旬/七夕の候、星祭の候、小夏の候
中旬/梅雨明けの候、小暑の候
下旬/猛暑の候、大暑の候、酷暑の候
書き出し
<上旬>
小夏の折、暑さが増してまいりましたが、〇〇様におかれましては、ますますご活躍のことと拝察いたします。
<中旬>
梅雨が明ける頃となりましたが、貴社におかれましてはますますご盛栄のことと存じます。
<下旬>
大暑の候、ますますご清祥のことと存じます。
結び
暑さ厳しき折、体調を崩されないようお気をつけてお過ごし下さい。
梅雨も明け暑さが厳しくなってまいりますが、何卒ご自愛の上、ご活躍下さい。
暑さも増してまいりますが、ますますのご活躍を祈念申し上げます。
さらに詳しい7月の季節の挨拶はこちらをご覧下さい。
7月・文月(ふみづき)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例
8月の季節の挨拶
二十四節気では8月7日頃が立秋で、8月23日頃には暑さの峠を越したとされる処暑(しょしょ)となります。(処暑とは、厳しい暑さの峠を越した頃を言います。)暦では秋になりますが一年で最も暑い季節です。夏バテしやすい時期なので、明るいイメージのひまわりや花火など元気が出そうな言葉を入れるのもおすすめです。
上旬/猛暑の候、晩夏の候、厳暑の候
中旬/立秋の候、残暑の候
下旬/初秋の候、早涼の候、処暑の候
書き出し
<上旬>
猛暑の折、〇〇様におかれましてはご健勝にお過ごしでしょうか。
<中旬>
立秋を過ぎ、暦の上では秋到来ですが、貴社におかれましてはさらなるご隆盛と存じ上げます。
<下旬>
初秋とはいえまだまだ暑い日が続きますが、〇〇様におかれましてはますますご活躍とのこと、お慶び申し上げます。
結び
晩夏の候、〇〇様のご健勝をお祈り申し上げます
残暑の折、冷房などで体調を崩されませんようお気をつけ下さい。
秋まではあと少しとなりましたが、ご自愛され健やかにお過ごし下さい。
さらに詳しい8月の季節の挨拶はこちらをご覧下さい。
8月・葉月(はづき)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例
9月の季節の挨拶
夏から秋へと移り変わる季節です。9月7日頃の白露(はくろ)、9月23日頃の秋分を迎えて秋が深まる時期なので、朝晩の心地良い気候や秋晴れの様子などを表現すると風情もあって良いでしょう。(白露とは、夜中に大気が冷え、草花や木に朝露が宿りはじめる頃のことです。)ただし、最近は9月に入っても暑い日が続くため「秋とは名ばかりの」などの表現も使われます。
上旬/処暑の候、初秋の候、早涼の候
中旬/仲秋の候、秋涼の候
下旬/秋雨の候、秋冷の候
書き出し
<上旬>
初秋となり、過ごしやすい日も増えてまいりましたが、皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
<中旬>
すすきが風に揺れる爽秋の侯、ますますご発展の段、心からお慶び申し上げます。
<下旬>
秋晴れ爽やかな季節ですが、貴社の皆様におかれましては、ますますご活躍のことと存じます。
結び
立秋とは名ばかりの暑さですが、ご体調を崩されませんようご自愛下さい。
夏の疲れが出やすい頃です。くれぐれもお体にご留意されご健勝にお過ごし下さい。
暑さの中にも秋の気配を感じるようになりました。これからもますますのご活躍をお祈り申し上げます。
さらに詳しい9月の季節の挨拶はこちらをご覧下さい。
9月・長月(ながつき)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例
10月の季節の挨拶
二十四節気では10月8日頃の寒露、10月23日頃に霜降が当たります。秋も深まり自然環境の変化が目立つ季節です。紅葉の様子やコオロギ、キリギリスなどの音色などを表現するのも良いでしょう。秋日和や天高くなど、晴れやかな気持ちになる表現も使われます。
上旬/秋涼の候、仲秋の候
中旬/秋雨の候、夜長の候、秋冷の候
下旬/紅葉の候、錦秋の候、秋麗の候
書き出し
<上旬>
秋晴の候、貴社ますますのご隆盛のこととお慶び申し上げます。
<中旬>
金木犀が香る心地良い季節となりました。〇〇様におかれましては、さらなるご活躍と存じます。
<下旬>
やや肌寒い日もございますが、お変わりなくお過ごしと拝察いたします。
結び
秋冷の候、お風邪などひかぬよう、くれぐれもご自愛下さい
秋麗の候、貴社ますますのご発展をお祈り申し上げます。
秋の実りの季節、貴社のご発展と〇〇様のご多幸を祈念申し上げます。
さらに詳しい10月の季節の挨拶はこちらをご覧下さい。
10月・神無月(かんなづき)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例
11月の季節の挨拶
11月7日頃には二十四節気の立冬を迎え、寒さを感じるようになってきます。葉が落ち、もの寂しさもある季節ですが、コスモス、パンジーなどの草花にスポットを当てるのも良いでしょう。
上旬/晩秋の候、初霜の候、菊花の候
中旬/立冬の候、冷雨の候
下旬/初冬の候、小雪の候、孟冬の候
書き出し
<上旬>
初霜のみぎり、少しずつ寒さも増してまいりましたが、お元気でご活躍のことと拝察申し上げます。
<中旬>
立冬の段、貴社ますますご清栄のことと、大慶に存じます。
<下旬>
冬に入りこちらでは小雪舞う季節となりましたが、貴社におかれましてはますますご清栄のことと存じ上げます。
結び
一日ごとに寒さ増す晩秋の折、お風邪など召されぬようご自愛下さい。
忙しい師走まであとわずかとなりましたが、貴社におかれましてはますますご発展されますようお祈り申し上げます。
例年よりも寒い冬になるという予報もあります。ご自愛専一にお過ごし下さい。
さらに詳しい11月の季節の挨拶はこちらをご覧下さい。
11月・霜月(しもつき)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例
12月の季節の挨拶
寒さと共に、公私にわたって師走特有のせわしなさを感じる季節です。ほっと落ち着く言葉や健康を気遣う言葉、お世話になった感謝の言葉などを交えると良いでしょう。師走、霜夜などの昔ながらの言葉の他、クリスマスやポインセチアなどで、現代の季節感を表現する手もあります。
上旬/初冬の候、向寒の候、小雪の候
中旬/寒気の候、短日の候
下旬/歳末の候、冬至の候、月迫の候
書き出し
<上旬>
初冬の候、貴社におかれましてはご活躍とご発展の一年であったことお慶び申し上げます。
<中旬>
ポインセチアの花が街を彩る頃となりましたが、お健やかにお過ごしでしょうか。
<下旬>
歳末のみぎり、活気あふれる日々をお過ごしのことと存じます。
結び
年の瀬が迫りご多忙の折ではございますが、お体にご自愛下さい。
本年もご愛顧の程まことにありがとうございました。〇〇様にとって来年も素晴らしい年になりますよう、お祈り申し上げます。
来年も、ご厚情を賜りますよう何卒お願い申し上げます。
さらに詳しい12月の季節の挨拶はこちらをご覧下さい。
12月・師走(しわす)に最適な時候の挨拶、季節の挨拶例
新暦・旧暦による春夏秋冬のズレを加味する
昔から用いられてきた季節の挨拶の中には、旧暦を基につくられているものも多くあります。そのまま使うと、新暦とは季節感が1ヶ月程度異なっているため、不自然に感じることもありますよね。
例えば、旧暦では1〜3月を春としていますが、実際は最も寒さの厳しい季節です。実際に感じている季節感を捉えた時候の挨拶を考えましょう。
また、住んでいる地域でも季節のずれがあります。南ではすっかり春でも、北ではまだ雪が積もっている可能性があるので、遠方に手紙を書く際は注意が必要です。さらに、最近は温暖化現象などで季節のずれが生じているので、その点も意識した季節の挨拶を作成して下さい。
高品質な手書きの手紙を作成する「ロボットレター」
手紙を書く際は季節の挨拶を入れるのが一般的です。季節の挨拶は古くからある二十四節気を基準にしていますが、現代の暮らしとは合わないこともあるので、実際の季節の様子を盛り込みながら作成しましょう。
ビジネスで手書きの手紙を送りたいものの「数が多くて社内のリソースが足りない」という時は、手書きの手紙作成を代行するロボットレターがおすすめです。
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